アスペンのテクストは、岩波文庫の源氏物語と、角川文庫から出ている与謝野訳(新新の方です)ですが、お読みになる目的によって幾つかのお薦めがあります。
まず、じっくりと何年かかけて五十四帖味わいたい、という場合です。
このケースでは、小学館の新編日本古典文学全集に収められている源氏物語がお薦めです。
見開きで注解・原文・現代語訳の三段組みになっており、岩波文庫の原文と注解を、各種現代語訳と首っ引きで読み比べるのに比べて、落ち着いて読むことができます。
六巻組になっていて、
一巻目が桐壺から花宴、
二巻目が葵から朝顔、
三巻が乙女から藤裏葉、
四巻が若菜から幻、
五巻が匂兵部卿から宿木、
そして六巻が東屋から最後の夢浮橋までです。
注解の中でも赤字で記された部分のおかげで、随分読みやすく感じます。
各巻には補足資料が掲載されていますが、源氏物語図典が手元にあった方が理解しやすいと思います。
新編日本古典文学全集版の弱点は、本が大きく持ち運びに不便であることと、一冊あたりの値段が四千円前後と高いことです。
これが角川文庫の与謝野訳だと五巻組で、総額四千円で収まります。
与謝野訳には二種類あって、与謝野晶子が最初に訳したダイジェスト版(超訳版?)は三巻組です。今は「与謝野晶子の源氏物語(上・中・下)」として角川文庫に収められています。
五巻組と申し上げたのは、当初「新新訳源氏物語」として出て、今は「全訳 源氏物語」として角川文庫に収められているものです。
全訳 源氏物語
一巻 桐壺から花散里
二巻 須磨から胡蝶
三巻 蛍から若菜 下
四巻 柏木から総角
五巻 早蕨から夢の浮橋 (与謝野晶子の源氏物語 下巻もほぼ同じ範囲)
そうはいっても敷居が高い、と解説書をひととおり読んでから原典にあたるアプローチをとられる方も多いかと思います。
最善の方法かはわかりませんが、その場合、以下の数冊はお薦めです。
誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ
源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり
まろ、ん?―大掴源氏物語
他にもいろいろなアプローチがあるのでしょう。是非ご紹介下さい。